ep「卒業」

epilogue「卒業~そつぎょう~」1

やがて・・・

季節は巡り、春を迎えた。

ミナギは2年生、カイトは3年生になり、大学の受験を受けて何とか合格の通知をもらった。

4月から通う大学はここから少しだけ遠かった。

「ふぅー・・・」

カイトは草の上に仰向けになった。

「・・・・・・」

カイトは空を見上げた。

そして、空を見るたびに思い出していた。

あの・・・

「カイト」

「わっ!」

ミナギが急に顔を覗かせて、カイトは思わずびっくりした。

「何だよミナギ・・・驚かすなよ・・・」

「くすす、カイトがぼーっとしてるからだよ」

ミナギは悪戯っぽく笑った。

「全く・・・」

カイトは、半ば呆れ気味に返した。

「卒業おめでと、カイト」

「ありがと、ミナギ」

「何か、淋しそうだね」

ミナギはカイトの横に座った。

「まぁね、初めてこの町から離れるからかな・・・?」

「あっ、そっか・・・カイトの通う大学ここじゃないんだね・・・」

ミナギは少し淋しくなった。

「医者になるのが夢だから・・・受けるなら医療の事がちゃんと学べる大学にしようって・・・」

カイトはそうミナギに話した。

「でも凄いよカイト、本当にやりたい事に少しずつ近付いてるんだもん」

「まだまだなんだけどね・・・」

カイトは遠慮がちに言った。

「私は・・・どうしようかな?」

カイトの話を聞いて、ミナギは何がやりたいのか改めて考えてみた。

「まだ、何がやりたいのか決まってないんだ・・・」

「うん・・・」

「ミナギが一番興味ある事をやればいいんじゃないかな・・・?」

カイトにそう言われて、ミナギは考えてみた。

「私の興味ある事は・・・」

ミナギは少し考えて・・・

「お料理・・・かな?おいしい料理を作って皆を喜ばせたいな・・・」

ミナギは笑顔でカイトに答えた。

「いいと思うよ。まっ、ただ・・・もう少し上手に作れるようにならないと・・・」

「あー、カイトひっどーい・・・これでも頑張ってるよ、私は」

カイトの言葉にミナギは少し拗ねていた。

「そうだね、家で母さんと懸命に料理の勉強を頑張ってるもんな・・・調味料を間違える事をあまりしなければ・・・」

カイトはこの前の事をネタにした。

「あれは・・・その・・・うー・・・意地悪・・・」

ミナギはいじけて顔を伏せた。

「はは、ごめんミナギ」

カイトは、ミナギを宥めるようにそっと頭を撫でた。

「えへへ・・・」

「ミナギも頑張れば出来るよ、きっと」

「うん、頑張るね私!」

ミナギの心からの笑顔を見てカイトは安心した。

「もう、カイトとはあまり会えなくなっちゃうね・・・」

ミナギは、カイトに淋しそうに言った。

「なるべく週末には帰るようにするよ。俺もミナギに会えないのは淋しいし・・・まぁ遠いっても駅から5駅位だけどね」

「私も、カイトの所へ遊びに行くね」

「うん、待ってるよ」

・・・風が心地よく草木を揺らしていた。

2人はその風の心地よさに身を委ねていた。

「思い出すなぁ・・・あの原っぱでミナギに会った時の事・・・」

「私が大切な人に会いたいって空に願いをかけていた時だね・・・」

カイトとミナギは、丘からあの草原を見ていた。

「うん、あの時は初めて会ったはずなのに初めてじゃないって、そんな気がしてたんだ・・・まぁ、ミナギのおかげで初めて会った時の記憶を戻したけどね」

カイトは温もりを取り戻した胸に手を当てながら話した。

「うん・・・私、空に願いをかけて良かったって思うよ。こうして再び会う事が出来たんだし」

ミナギはカイトの左手を握った。

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epilogue「卒業~そつぎょう~」2

この町には沢山の思い出が・・・

ハルやシンジ達との出会い・・・

ミナギと出会い・・・フォーと出会い・・・

辛かった事も、悲しい事も、楽しかった事も・・・

みんな、この町に一杯詰まってる。

きっと、これからも・・・

「カイト・・・」

ミナギにそう言われてカイトが振り向くと・・・

「あっ・・・」

「・・・・・・」

ミナギの突然のキスにカイトは言葉を無くした。

「ミナギ・・・えっと・・・」

「えへへ・・・この前のお返し♪」

ミナギは悪戯っぽくカイトに微笑んだ。

「あ・・・・・・」

この前の事・・・

大学の合格通知が来たその日の週末にカイトがミナギを遊びに誘った時・・・つい・・・

「あ、っと・・・・・・」

カイトはその時の事を思い出して、顔が赤くなりそうだった。

「くす、カイト、顔が真っ赤だよ・・・」

ミナギにそう言われてカイトは「ほっとけ」と、笑って誤魔化した。

少し、空を見上げて・・・

「フォーは見ているかなぁ・・・?」

カイトは空を見上げながらミナギに話した。

「うん、きっと見てるよ」

ミナギも笑顔で話した。

「フォーが消えた日、信じられない位に涙が止まらなくなって・・・男のくせにみっともないって思ってても・・・」

カイトは、あの時の事を思い返し、少しだけ顔を伏せた。

「それはカイトがとてもフォーちゃんの事を大事に思っていたからだよ・・・男だからって泣いちゃいけない事はないよ」

「俺はフォーを助けるどころかあんな形で・・・フォーに余計辛い思いをさせた・・・」

カイトは悲しげに話した。

「カイト・・・フォーちゃんと別れた時・・・笑顔だったよね?」

カイトは静かに頷いた。

「フォーちゃんはとても幸せだったと思うよ。そうじゃなかったら、カイトの為に願いを返す事はしなかったと思うし・・・」

「・・・・・・」

ミナギの話に、カイトは何も言わずに聞いていた。

「それに、私がカイトに願いを返そうとした時にフォーちゃんに止められて・・・フォーちゃんに言われたの・・・ミナギは消えちゃダメだよって・・・」

「えっ!?」

ミナギのその話に、カイトは思わず驚いた。

「私の為にカイトが代わりに消えてしまうのが嫌だった・・・大切な人がカイトだって分かっただけでも私は嬉しかったから・・・」

ミナギは、その時の思いをカイトに打ち明けた。

「ミナギ・・・ごめんな、俺がやった事でミナギにも苦しい思いをさせてしまって・・・」

カイトは、ただミナギに謝った。

「誰もカイトのせいなんて思ってないよ。皆、そのカイトの優しさに救われたから・・・私だって・・・本当はもうここにはいないはずの人間だったはずだし・・・」

ミナギは涙を溜めながらカイトに話した。

「ミナギ、俺・・・」

「ただ、これだけは約束してほしいよ・・・命と引き替えにしてまで他の生き物や人達を助けたりしないでって・・・私、カイトがいなくなったら・・・」

ミナギは話し終えると、涙を誤魔化すようにカイトの左腕に顔を寄せた。

「分かったよ・・・もう、無理してまで命を救ったりはしないよ」

カイトはそっと、ミナギと指切りを交わした。

あの時の約束のように・・・

・・・・・・。

カイトとミナギは、自然と口付けを交わしていた。

これで3度目のキス・・・

でも、恥ずかしそうに交わした初めてのキスよりも体の中にまで温もりが伝うようだった。

フォーのいる空に、約束するよ・・・

俺はミナギに・・・悲しい思いはさせないと・・・

1つの・・・願いを乗せて・・・・・・。

「灰色の願い事~lost color of wish~」fin.

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