#6「空上」

#6「空上~そらのうえ~」1

「えへっ、今日がいい天気で良かったよ」

「うん、そうだね」

「フォー♪」

待ち合わせで合流し、カイト達はハルの待つ草原まで歩いていた。

「俺も久しぶりに乗りたいなぁ・・・」

「カイトはあまりフォーちゃんに乗ってないの?」

ミナギはふと、気になってカイトに聞いた。

「高一まではよく乗ってた・・・高二になってから学費も稼ごうと思って、他のバイトも入れ始めてそれで・・・」

「そっか、カイトのお母さん外で働けないから・・・」

ミナギはカイトの家族事情を察して控えめに話した。

「まぁ・・・その無理が祟って、倒れちゃって・・・その後、学費は何とか親戚の人が出してくれるって話になったんだけど・・・あはは」

カイトはあの時の事を思い出し、苦笑いをしながら話した。

「カイトって、すぐ無茶するんだから・・・困った時には親しい人に頼む事も大事だよ」

「はは・・・そうだね。倒れた時にお母さんに凄く心配かけちゃったし・・・」

ミナギにそう言われてカイトは苦笑いしながら答えた。

「フォーもごめんな、あの時に全然構ってやれなくて・・・」

カイトがフォーに言うと、フォーは静かに首を横に振って答えた。

「あっそーだ、ドラゴンでの飛行で分からない事があったら俺よりもハルに聞いた方がいいかな?」

「うん、分かった」

「あんまし緊張する事ないと思うんだ。乗る方が緊張してるってドラゴンに伝わるとあまり上手くいかないって聞いた事あるから」

カイトは自分なりにミナギに伝わるように話した。

「うん、そうだね」

「まっ、相手がフォーならミナギも大丈夫だと思うけどね」

カイトはそう話しながらフォーの首元をそっと撫でた。

「フォー♪」

「うんっ、よろしくねフォーちゃん」

「フォー♪」

ミナギとフォーの姿を見て、きっと大丈夫だとカイトは思った。

そう話してるうちに、カイト達はハルの待つ草原に着いた。

その先でハルとドラゴンのグライドが待っていた。

「ハルー!」

カイトが呼ぶと、ハルはこっちに手を振った。

「行こうか、ミナギ、フォー」

「うんっ」

「フォー♪」

カイト達は駆け足でハルの元へ行った。

「おはようカイト君、ミナギちゃん。それにフォー、久しぶり」

「フォー♪」

それぞれの挨拶を交わし、ハルの簡単な説明が始まった。

「いい、ミナギちゃん・・・ドラゴンに乗る時はあまり手荒にしないでね。ドラゴンも私達と一緒でそれぞれの気持ちがあるから・・・」

「うん・・・」

ミナギはハルの話を聞きながら、フォーに優しく触れていた。

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#6「空上~そらのうえ~」2

「ミナギちゃんとフォーだったら大丈夫だと思うけどね・・・あまり緊張はしないでね。なるべく気持ちを落ち着けるようにね・・・普段どうりに接してあげればいいよ」

「うん・・・・・・」

「・・・・・・」

カイトがミナギの方を見ると、何となく少しだけ緊張してるように見えた。

「ハル、ちょっといいかな?」

「えっ?・・・何、カイト君・・・」

「飛ぶ前に少し遊ぼう。ミナギもフォー達と遊べば緊張も解れるだろうし、俺もグライドと会うのの久しぶりぶりだし・・・」

カイトは皆に提案した。

「うん、そうだね。いきなり飛ぶ所から説明されても疲れるよね・・・いいよ、少しだけ遊ぼう」

「ミナギ、行こうか?」

「うんっ」

少しだけ表情の硬かったミナギも、笑顔でカイトに答えた。

「行こう、フォー」

「フォー♪」

カイト達は心を解放するかのように、思いっきり遊んだ。

天気が良い事もあって夢中になっていて、気が付いた頃にはもう昼になっていた。

「みんなー、そろそろお弁当にしよう」

「うん、分かったよ」

「はーい」

ハルは皆にそう言いながら、持ってきたお弁当箱を出した。

「朝早く起きて作ったんだよ」

ハルはそう言ってお弁当箱のフタを開けた。

「おいしそう・・・」

「凄いね、ハル・・・」

「はい、あなた達のも用意したから」

「グォー!」

「フォー♪」

ハルの本格的なお弁当に皆、揃って笑顔になっていた。

「ハルってこうゆうの得意だね。俺はそうゆうの全然ダメなのに・・・」

「えへっ、私こうゆう事好きだからかなぁ・・・?作ってて凄く楽しいんだよ」

カイトにそう言われて、ハルはとても嬉しそうに答えた。

「私も・・・やってみようかな・・・?ハルさ・・・えっと、ハル・・・今度私にも教えてほしいな・・・」

ミナギは、少し恥ずかしそうにハルに話した。

「うん、いいよ。上手に出来たらぜひカイト君に食べさせてあげてね♪」

ハルは、カイトの顔をちらっと見てから楽しそうにミナギに話した。

「はは・・・ミナギはまだ普通に友達だって。いきなり・・・」

「あら~、照れなくてもいいのよカ・イ・ト・君♪」

「はは・・・」

ハルの中ではもう、ミナギとは恋人になっているらしい・・・カイトは笑うしかなかった。

こうして、お昼はあっとゆう間に過ぎていった。

・・・・・・・・・。

「それじゃ、準備はいい?・・・ミナギちゃん」

「うんっ、大丈夫」

昼食も終えてすっかり心も落ち着いたのか、ミナギは最初の時と比べて大分落ち着いていた。

「あっ、カイト君」

「えっ、何?ハル・・・」

ハルに急に呼ばれて、カイトはハルの所に行った。

「カイト君、ミナギちゃんの後ろに乗って」

「えっ、俺も乗るの?」

「うん、やっぱりドラゴンに乗るのが初めてのミナギちゃんだけじゃ危ないしね・・・」

「あっ・・・」

最初はこの場所で見守っていようと考えていたが、ハルにそう言われてカイトはハッと気が付いた。

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#6「空上~そらのうえ~」3

「そうだね、やっぱりミナギ1人じゃ危ないよなぁ・・・俺、フォーが一緒だからちょっと安心してて・・・」

「そっ、さすがに初心者はサポートがないと・・・てなワケでお願いね、カイト君」

ハルにそう言われてカイトは苦笑いをしながら答えた。

「うん、分かったけど・・・フォー」

「フォー?」

カイトはフォーに近寄って聞いた。

「俺も乗って大丈夫?フォー・・・」

「フォーゥ・・・」

カイトがフォーにそう話すと、フォーはゆっくりと腰を下げた。

「よっと」

カイトはミナギの後ろにそっと座って、命綱を握った。

「フォー、大丈夫?重くない?」

カイトがフォーに尋ねると、フォーはいつもの元気な声で「フォー!」と答えた。

大丈夫らしい。

「それじゃ行こっ。ミナギちゃんはしっかり命綱を持ってね。カイト君はミナギちゃんをよろしくね」

「うんっ」

「分かった」

ハルはグライドに乗って準備を整えた。

「グライド、フォー行くよ!」

「グォー!」「フォー!」

風が一瞬だけ止んだ・・・グライドとフォーは翼を大きく広げて地面を蹴った。

バサッ、バサッと音を立てて風を切り、カイト達は雲が近い場所まで一気に飛んだ。

「ミナギ、大丈夫?」

「・・・うん」

まだ怖いのか、ミナギは顔を伏せていた。

「そっと顔を上げてミナギ。俺がいるから」

「うん・・・」

ミナギは静かに顔を上げた。

「うわぁ・・・」

ミナギが辺りを見回すと、そこは見た事の無い世界が広がっていた。

「大丈夫?ミナギ・・・怖くない?」

カイトは心配してミナギに聞いた。

「うん、大丈夫・・・」

ミナギは少し下を見てしまい、一瞬だけ言葉が止まった。

「ミナギ、下を見ないで前だけ見てて。出来るだけ遠くを見る感じで・・・」

カイトはミナギの頭を撫でながら話した。

「・・・・・・」

少しして・・・ようやく落ち着いたのか、ミナギの手の震えが止まった。

「大丈夫ー!?カイト君、ミナギちゃん」

ハルとグライドが心配して少し近付いた。

「何とかー!」

「はーい!」

少しでも大丈夫な所を見せるべく、2人してハルに手を振った。

「ねぇ、そう少し上の方に行ってみないー?」

風が吹いていて聞こえにくいので、互いに叫ぶように会話を交わしていた。

「オッケー!フォー、このまま上昇して!」

「フォー!」

フォーが上昇するのを見て、ハルもグライドに言った。

「私達も行こっ!グライド!」

「グォー!」

グライドもフォーの後をついていった。

・・・・・・・・・。

「凄く・・・綺麗」

カイト達は雲の上を飛んでいた・・・一面に広がる白い雲はまるで雪のようだった。

滅多に見られない景色に、カイト達はしばらく見惚れていた・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

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#6「空上~そらのうえ~」4

ゆっくりと翼をはためかせ、フォーとグライドは地面に降り立った。

「ふぅー・・・」

「はぁ・・・」

「よっと」

カイトは久しぶりの感覚に心が満たされていた。ミナギは初めて空を飛んで、言葉にならない程の感動を覚えていた。

「どうだった?ミナギちゃん、初めての空の散歩は・・・」

「えへっ、凄く良かったよ。本当に鳥になったみたい」

ミナギは、少し興奮しながら笑顔でハルに答えた。

「ミナギちゃんにそう言ってもらえると私も嬉しいよ」

「最初は少し怖かったけど・・・カイトのおかげで怖くなかったよ」

「ただ、大丈夫だよってミナギに言っただけだけどね」

ミナギはカイトの顔を見ながら嬉しそうにハルに話した。

「やっぱり、あんた達お似合いね・・・うふふ♪」

ハルにそう言われて、ミナギは恥ずかしそうに少しだけ顔を伏せた。

「いいよ、ハル・・・茶化さなくても・・・」

「あーらあら照れちゃって、もう・・・」

「くすっ」

「あはは・・・」

めったに味わう事のない空気に少し戸惑いながらも、こんな感じも悪くないかもとカイトは思った。

「それじゃ、私はもう1回行って来るね」

ハルはそうカイト達に言って、再びグライドと飛んで行った。

「ふぅー・・・」

カイトははハルの飛んでゆく姿を見送りながら、空を見上げていた。

「えへっ、カイトありがと」

「うん、ミナギが喜んでくれて俺も良かったよ」

「まさか本当に空を飛べるなんて夢みたいだよ」

ミナギは目を輝かせながらカイトに話した。

「フォー♪」

フォーも嬉しそうに答えた。

「うん、俺も久しぶりに空を飛べて嬉しかった・・・」

「カイト?」

「フォー?」

カイトの話し終えた時の感じが気になって、ミナギとフォーは呼び返した。

「え?どうしたのミナギ、フォー?」

「カイト、大丈夫?何か・・・」

「えっ、大丈夫だけど・・・どうしたの?」

「ううん、ならいいんだけど・・・」

「・・・?」

ミナギの少し心配そうな顔にカイトはどう答えていいか分からなかったが・・・

そういえば・・・少し、体の感じが・・・

「ミナギ、もう一度空を飛びたい?」

「うんっ、カイトも一緒に乗るんだよね?」

「うん、それじゃ準備をしよ・・・」

「カイト?」

「あっ・・・」

・・・どさっ。

一瞬だけ、時が止まった感覚に包まれた。

「え・・・?」

「フォー!?」

目の前に、さっきまで話していたカイトが倒れ込んだ。

「カイト!どうしたの?しっかり・・・」

ミナギがカイトに触れた瞬間、凍り付きそうな冷たさに襲われた。

「つ、冷たい・・・」

「フォー!」

「カイト、カイトー!?」

カイトの体は触れる事が辛いほど体温が下がっていた・・・

ミナギはとにかくカイトの体を温めようとしても冷たすぎて出来なかった・・・。

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#6「空上~そらのうえ~」5

・・・・・・・・・。

「・・・・・・・・・」

気が付くと、カイトの周りを薄暗い霧が辺りを包んでいた。

ここは一体・・・どこなんだろう・・・?

さっきまでミナギとフォーの側にいたのに、今は人の気配はどこにもなかった。

「ミナギー、フォー、ハルー、グライドー」

カイトは名前を呼んでみたが、返ってはこなかった。

「夢・・・なのかな・・・?」

カイトはさっきまでの状況を思い出そうとしてみるが、何かにかき消されるように思い出せなかった。

(・・・た・・・の・・・に・・・)

「えっ?」

不意にカイトの耳に掻き消えそうな声が聞こえた。

(・・・わ・・・た・・・の・・・に・・・おい・・・)

「誰?誰なの?」

(わた・・・しのと・・・ころに・・・おい・・・で)

その声は段々はっきりとカイトの耳に入ってきた。

「君は誰なの?」

(ふふっ、怖がらなくていいの・・・ただ、私の所まで来てくれたら・・・)

「どうして?」

(あなたはもう、何も考えなくていいの。私が側に・・・いてあげる)

「あっ・・・」

カイトはその声を聞いてる内に、なぜか心地の良い気持ちになっていった・・・

「・・・あなたの所へ行けばいいのですか・・・?」

(そう、何も怖がらなくていいの・・・)

「・・・・・・」

カイトは、声のする方へ引き寄せられるように歩いていた。

(ふふふ、さぁおいで。あなたはもう怖がる事はないから・・・)

「・・・・・・」

(そう・・・)

「・・・・・・」

(永遠に・・・)

「だめー!」

「えっ?」

カイトは不意に、別の声の叫び声を聞いたとたん我に返った。

「カイト、その人の声を聞いちゃ・・・」

「えっ?」

(おっ、お前、私の邪魔をしないでっ!・・・その子は私のもの・・・)

「お願い、カイト!私達の所に戻ってきてー!」

(き、貴様、邪魔を・・・)

「はぁーっ!」

(わ”-っ!?)

「うっ!」

一瞬、辺りが眩しい光に包まれた。

・・・・・・・・・。

「・・・・・・・・・」

「えへっ、良かった・・・無事で」

その声は、泣きそうな感じでカイトに話し掛けてきた。

「君は一体・・・どうして俺の名前を・・・?」

「ごめんなさい・・・今は話せません・・・」

その声はそれ以上カイトに答える事は無かった。

「えっ・・・?」

「ただ、私はいつでもあなたの側で・・・見守ってます」

「君にまた、会えるのかな・・・?」

「いつか、必ず・・・カイト、私の声の方まで・・・歩いてきて」

「うん、分かったよ・・・」

カイトは、その優しい声の方へ歩いてゆく・・・

そして、段々と意識が戻るような感じがした。

もうすぐ・・・・・・。

・・・・・・・・・。

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#6「空上~そらのうえ~」6

「・・・・・・」

・・・・・・・・・。

「・・・う・・・ん・・・」

・・・・・・。

「・・・あっ」

「フォー!」

「わっ、あははフォー、やめろって・・・」

カイトが気が付いたと同時にフォーが頬擦りをしてきた・・・

覚めたんだな・・・夢から。

「カイトー!」

「あっ、ミナギ」

ミナギは、カイトが気が付いた喜びで涙目で抱きついた。

「わっ!」

「ぐすっ、良かったカイト・・・気が付いてくれて」

余程カイトの事が心配だったのか、カイトの胸元で泣いていた。

「ごめんミナギ、心配かけちゃって・・・」

そう言って、カイトはミナギの頭を撫でた。

「カイト君ー!」

少しして、ハルが何かを持って駆け足で戻って来た。

手に持っていたのは救急箱だった。

「ハル・・・」

「良かった・・・カイト君、皆心配したんだから」

「皆、ごめん・・・俺は大丈夫だから」

今まで重かった空気が一気に晴れだした。

・・・・・・・・・。

「・・・ふぅ」

カイトは木の柵に寄り掛かっていた。

遠くでミナギとフォーが一緒に遊んでいる姿が見えた。

「・・・・・・」

カイトはふと、夢の中の声が誰なのか考えていた。

前にも一度、聞いた事のある・・・どこか優しげな感じの声・・・

いつでもそばで・・・見守ってます・・・か。

カイトは、空を見上げながらこうして生きてる事をありがたく思った。

「カイト君ー!」

少しして、ハルがカイトの所に戻ってきた。

「あっ、ハル・・・」

「はい、特製のココアを作ったから。これを飲んで元気出してね」

「ありがと・・・ハル」

カイトがココアを口にすると、ついさっきまで体が冷え切っていたとゆう事もあって、心の芯まで温まる感じだった。

「はぁー・・・」

「本当に大丈夫なの?カイト君・・・」

「うん、大丈夫。ごめん・・・心配かけて」

カイトは、本当に申し訳ない顔をしてハルに言った。

「もう、びっくりしたよ。フォーが悲しい顔で私の元に近付いてきて・・・何があったのかと思って戻ってみたらカイト君、いきなり倒れてるんだもん・・・」

あの時の状況をふと、カイトは想像してみていかに皆が心配してくれたのか痛い程に伝わった。

「あの時は大丈夫だったの?乗ってる時とか・・・」

「ハルがもう1回空に飛んでゆく時までは平気だったけどね・・・」

カイトはそう言いながら空を見上げた。

「でも、良かったよ。顔色も大分良くなったし」

「うん、さっきよりも気分はいいよ」

「あっもしかして、あの時も・・・」

ハルは、急に何かを思い出したようにカイトに聞いた。

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#6「空上~そらのうえ~」7

「え?あの時って・・・」

「ほら、学園祭の準備の時に・・・」

「あっ・・・」

ハルにそう言われて、カイトは思い出した。

学校に着いた辺りから、急に具合が悪くなった時の事を・・・。

「あの時は朝もちょっとだけ具合悪かったけど、学園祭まで日にちが無かったから・・・皆に会えば元気になるかなって思ってたけどね・・・」

「本当、皆びっくりしてたよ・・・あのままだったら倒れて学園祭どころじゃなくなってたよ」

「はは・・・そうだったかも」

「全く・・・まっ、そこがカイト君らしいんだけどね・・・」

ハルに呆れ顔で言われてカイトは苦笑いした。

「本当に大丈夫なんだよね??」

「大丈夫、大丈夫。今は気分はいいから」

ハルの心配そうな顔を見て、カイトは安心させようと元気な素振りを見せた。

「うん、それだけ元気なら大丈夫だね、えへっ」

「今度はグライドに乗りたいなぁ」

「それじゃ、行こうカイト君」

カイトとハルはミナギ達の所へ行った。

色々あったけど、皆と遊んで心から楽しかった・・・そうカイトは素直にそう思った。

・・・・・・・・・。

「それじゃ、カイト君、ミナギちゃん、フォー」

「今日は本当にありがとうハル」

カイトはハルに今日の事の感謝を伝えた。

「えへへ、どういたしまして♪」

「ハルさ・・・ううんハル、今度料理を教えてね」

「オッケー、今度連絡するね」

ハルはグライドに乗ってゆっくりと上昇した。

「また明日ねカイト君、ミナギちゃん、フォー」

夕日が周りを染めた頃にハル、グライドと別れた。

「さっ帰ろうかミナギ、フォー」

「うんっ」

「フォー」

夕日が赤く染めていた。

昼間とはまた違った草原の風景に思わず見惚れてしまいそうだった。

「ミナギ・・・」

「えっ、どうしたの?カイト・・・」

「ごめんな、色々心配かけちゃって・・・」

カイトは、倒れた事をミナギに改めて謝った。

「ううん、元気になって良かったよ・・・」

「ミナギ?」

ミナギは、話しながら少しずつ震えているような・・・

「凄く心配しちゃったよ・・・もし、このままカイトが目を覚まさなかったらって考えたら・・・」

カイトがミナギの顔を見ると、今にも泣きそうな顔で・・・でも、無理して笑っていた。

「ごめん、本当にごめん」

そう言って、カイトはミナギの頭を撫でた。

「カイト・・・まだ平気なんだよね?・・・死んじゃったりしないよね??」

「・・・うん、大丈夫、大丈夫だから」

・・・本当に大丈夫なのかは分からなかった。

でも、ミナギに余計な心配をかけたくなかったので、カイトはただ大丈夫と繰り返した。

「フォーゥ・・・」

その様子を見て、フォーも心配そうな表情で見ていた。

「フォーにも心配かけちゃったな・・・」

カイトはそう言いながら、フォーの頬をそっと撫でた。

「きっと見つかる・・・そう思ってる。俺だって死ぬのは嫌だしね」

「私に何が出来るのかな・・・?辛いよ、凄く・・・」

ミナギはそう言いながらカイトの右手を握った。

「俺に元気をくれるだけでいいよ。こればかりは俺自身の問題だし・・・ミナギのおかげで探す事に決めたし」

「うん・・・・・・」

ミナギは笑顔で答えた。

少しだけ涙を浮かべて・・・。

#6「空上~そらのうえ~」end.

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