#2「竜翼~りゅうのつばさ~」1
「ただいま、フォー」
「フォー!」
カイトが家に辿り着くと、真っ先にフォーが迎え入れてくれた。
「ごめんな、フォー。あんまり構ってやれなくて・・・学園祭が終わったら遊ぼうな」
「フォー♪」
カイトは、今まで構ってやれなかった分、フォーとじゃれあった。
・・・・・・。
「ただいま」
「おかえり、カイト。もうすぐご飯だから手を洗って着替えてきなさいね」
「はーい」
カイトは、急いで洗面所で手を洗って、自分の部屋に戻って着替えた。
・・・・・・。
「いただきまーす」
夕飯はシチューだった。
「学園祭の準備は上手くいってるの?」
「うーん・・・ギリギリかなぁ・・・?」
「明日も早いから、早く寝なさいね」
「はーい」
何気ない会話・・・どこの家にもある風景だった。
・・・・・・。
・・・。
カチャ。
「さて・・・」
風呂から上がり、自分の部屋に戻ったカイトはゆっくりベッドに腰掛けた。
「・・・・・・」
ふと、カイトは今日会ったミナギの事を考えた。
ミナギの命を救った、大切な人への強い思い・・・自分と同い年のはずなのに・・・
誰よりも強い意志を持ってる・・・
とても、自分なんかじゃ決してマネ出来ない・・・強い思い・・・
絶対に、会えるといいな・・・ミナギの大切な人・・・
「・・・・・・」
と、カイトは話をしてる途中で、心の中の引っ掛かりが気になっていた。
「ミナギかぁ・・・」
ふと、カイトはミナギの名前を何度となく言ってみた・・・
幾度となく心に引っかかるような感じ・・・
いつの間にかカイトは、小さい頃に一緒に遊んだ事のある女の子と影を重ねていた・・・。
「・・・そんなわけないか。ミナギとは初めて会ったんだし・・・」
そう考えてる途中で、カイトは段々と睡魔に襲われてきたので、明かりを消して布団に潜った。
「おやすみ・・・」
辺りは静寂に包まれた。
・・・・・・・・・。
・・・。
(・・・・・・に・・・・・・い・・・)
(・・・・・・の・・・に・・・おい・・・・・・で)
「・・・・・・」
(・・・・・・たし・・・の・・・とこ・・・・・・おいで・・・)
「・・・・・・」
(・・・たし・・・の・・・ところ・・・に・・・)
「・・・・・・うう・・・」
(・・・わたしの・・・ところ・・・に・・・)
「!?」
誰かが呼んでる・・・?
意識が遠くなりかけて不意に目が覚めた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
久しぶりの不快な感覚だった。
「う・・・げほっ、げほっ」
カイトは胸を押さえながら、リュックから薬を取り出して一粒飲んだ。
「はぁ・・・はぁ・・・」
辺りはまだ薄暗くまだ夜は明けていなかった・・・。
「あれから一週間か・・・何とか保った方かな・・・?」
カイトは胸が苦しくなったら薬を飲む、そんな生活をあの日から続けていた。
そう・・・あの日から・・・・・・。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)


最近のコメント