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#9「冬始~ふゆのはじまり~」3

「カイト、どうしたの?こんな時間に・・・」

「うんとね・・・実は少しの間だけフォーを預かっていてほしいんだ」

カイトは、フォーの首元を撫でながらミナギに話した。

「え?どうして・・・?」

「実は、お母さんが病院で年に一度の精密検査で約一週間家に誰もいなくなっちゃうから・・・それで」

カイトは、ミナギに手短に話した。

「あっ、迷惑だったらいいんだ。フォーもきっと1人でも大丈夫だと思うし・・・」

「うん、いいよカイト、私の家で預かっても」

ミナギは笑顔で答えた。

「えっ、でも一応エリさんにも話した方が・・・」

「あっ・・・」

カイトにそう言われて、ミナギは慌ててエリがいるらしい居間の方へ戻っていった。

「ちょっと待ってて、今お姉ちゃんに話してくるから」

ミナギは戻りながらカイトに言った。

「フォー・・・」

「フォー、急な事になってごめんな・・・」

カイトは申し訳なさそうにフォーに話すと、フォーは首を横に振った。

少しして・・・ミナギがエリと一緒に戻ってきた。

「こんばんわ、カイト君」

「あっ、エリさんこんばんは」

カイトは改まって、エリに挨拶した。

「ミナギから話は聞いてるわ。家で良かったらフォーを預かってもいいよ」

エリはカイトにそう答えた。

「本当ですか?すみません・・・個人的な我儘で・・・」

「ううん、いいよカイト君。カイト君の家お母さんが病院に一週間泊まりで、誰もいないのでしょう?ちょうど私は今、自宅勤務だから家にいるし・・・フォーの面倒くらいなら大丈夫だから」

エリにそう言ってもらえて、カイトは心から感謝した。

「本当にありがとうございます。何て感謝していいか分かりませんけど・・・」

「気にしなくてもいいよ、カイト君・・・ただいつも通りミナギと仲良くしてくれたら私は嬉しいから」

「私も、一週間だけだけどフォーちゃんと一緒にいられるし・・・カイトも時々家に来てフォーちゃんに顔を出してあげてね」

カイトは、ミナギに笑顔でそう言われた。

「う、うん・・・もちろん」

カイトは、少しだけぎこちない感じに答えた。

「カイト・・・?」

「え・・・?」

目の前にミナギの真っ直ぐな眼差しが入ってきた。

「どうしたの?ボーっとして・・・」

「え?ううん・・・今日はちょっと疲れてて・・・」

カイトは、その場を取り繕う感じで答えた。

「ところでカイト君、夕飯は食べたの?」

エリがカイトに尋ねてきた。

「えっと、まだです。これから家に帰って作ろうかなって・・・」

「カイト君、良かったら家で夕飯食べていかない?」

エリは笑顔でカイトに提案した。

「でも、それはさすがに・・・」

「一緒に食べようよ、カイト」

カイトが遠慮しようとすると、ミナギが割り込んで話に入ってきた。

「いいのかな?・・・本当に」

「私は大歓迎だよ。もちろんお姉ちゃんも・・・」

ミナギは笑顔でエリの顔を覗き込むように見た。

「遠慮はいらないよカイト君、家もこれから晩ご飯を作る所だから。フォーも、ねっ」

「フォー♪」

エリは、笑顔でフォーにも言った。

「それじゃ・・・」

・・・・・・。

それから、カイトはミナギとエリとフォーで夕食を一緒に食べた。

何気ない皆との会話がとても楽しかった。

でも・・・俺にはもう残された時間は・・・

・・・・・・・・・。

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