« #9「冬始~ふゆのはじまり~」9 | トップページ | #9「冬始~ふゆのはじまり~」11 »

#9「冬始~ふゆのはじまり~」10

「気にしなくていいよ、また明日来て・・・」

「カイト?」

カイトはその場にしゃがみ込んで咳き込んだ。

「げほっ、げほっ・・・」

「カイト!しっかりして」

「あああ・・・」

カイトは今にも吐きそうな感じだった。

「いかん!カイトをベッドに寝かせないと・・・ミナギ、こっちへ連れてきなさい」

「は、はいっ」

ミナギとアステルはカイトの肩を持って、ベッドに寝かせた。

「カイト・・・」

ミナギはじっとカイトの手を握った。

「カイト、これを飲みなさい」

アステルはカイトに薬を飲ませた。

「ごほっ、ごほっ・・・」

「これで少し様子を見よう・・・」

「カイト・・・」

ミナギは、泣きそうな顔でカイトの手を握り続けていた。

・・・・・・。

「すぅー・・・」

薬が効いたのか、カイトは静かに眠りについた。

「ミナギ、カイトの事は私に任せてもう帰りなさい。親が心配するから

「はい・・・・・・明日来ます」

ミナギは部屋を後にした。

パタン。

「フォーちゃん、帰ろう・・・」

「フォーゥ・・・」

さっきまでの様子を外から見ていたフォーは、少し悲しげに鳴いた。

ミナギとフォーが森を抜けた所で、ちょうど辺りが暗くなり始めていた・・・

淋しい気持ちのまま、ミナギとフォーは帰宅した。

・・・・・・・・・。

次の日、授業を終えたミナギはすぐに帰宅して再びフォーとアステルの所へ出掛けた。

何よりも、カイトの事が心配だった・・・。

「フォーちゃん、お願い」

「フォー!」

バサッ、バサッとゆっくりと上昇し、風に乗るように森の方へ飛んでいった。

・・・・・・・・・。

コンコン。

「どなたかな?」

「ミナギです」

「ああ、入りなさい」

ミナギはゆっくり扉を開けて入った。

「アステルさん、カイトは大丈夫ですか?」

「カイトは出て行ったよ。用事があるからと、置き手紙を残して・・・私はその体じゃ無理だと言ったのに・・・ご飯を持っていったらいなくなってたよ」

「えっ?」

ミナギは驚いて声を出した。

「カイトはどこに行ったんですか?」

ミナギは泣きそうな顔でアステルに聞いた。

「家に戻るって書いてあった・・・本当にカイトは無茶をする・・・」

「戻ってくるんですか?」

「それは・・・分からん・・・」

「・・・・・・」

ミナギは、カイトを探しに行こうと思ったが思い留まった。

もしかしたら・・・カイトを救えるかもしれない・・・

「アステルさん・・・」

「どうした?ミナギ・・・」

ミナギは、思い切ってアステルに話した。

「私の願い・・・叶えてくれませんか・・・?」

「・・・まさか、カイトにか?」

ミナギは静かに頷いた。

「本当にいいのか?」

アステルは、もう一度ミナギに尋ねた。

「はい」

ミナギは真剣な目でアステルに答えた。

「・・・こっちへ来なさい」

アステルは、右の扉の方に向かった。

ミナギはそっと、後をついて行った。

中に入ると、薄暗いカーテンに囲まれた部屋の下に魔方陣が書いてあり、その上に椅子が置いてあった。

|

« #9「冬始~ふゆのはじまり~」9 | トップページ | #9「冬始~ふゆのはじまり~」11 »

小説」カテゴリの記事

#9「冬始」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519738/43082217

この記事へのトラックバック一覧です: #9「冬始~ふゆのはじまり~」10:

« #9「冬始~ふゆのはじまり~」9 | トップページ | #9「冬始~ふゆのはじまり~」11 »