#9「冬始~ふゆのはじまり~」21
「ふぁ~・・・」
翌朝、軽く朝食を食べて学校へ向かった。
今朝、鏡を見たら自分の顔かと疑う位に目の辺りが腫れていたが、何とか持ち直した・・・はずだとカイトは無理矢理言い聞かせた。
「カイトー」
後ろから名前を呼ばれて振り向くと、シンジがいつもの元気な声でカイトに駆け寄った。
「やっシンジ、この前はごめん・・・」
「いや、お前がそうやって元気になって出てきただけで・・・」
シンジがそう言いかけて、話が止まった。
「カイト・・・お前目が凄い腫れてるぞ・・・大丈夫か?」
「はは・・・ちょっとね・・・」
カイトはそそくさと先を急いだ。
「あっ、おいっ待てって・・・」
「急がないと遅刻するぞー、シンジ」
「まだ大丈夫だっての・・・待てって・・・」
カイトは逃げるように学校へ向かった。
・・・・・・。
カイトにとって三日ぶりの学校は、前よりも楽しいものになっていた。
生きてる事がこんなにも楽しいと素直に思えた。
今までの胸の苦しみを隠し通す辛さからやっと、解放されたんだとカイトは心から思った。
・・・・・・・・・。
キーン、コーン・・・
お昼の時間になり、皆それぞれの場所へ向かった。
「カイトー、学食へ行くか?」
「ああ、今行くから・・・」
カイトとシンジは学食へ向かった。
シンジからは、あの時に何があったのかきっちりと話してくれと言われてカイトは苦笑いしながら答えた。
学食は相変わらずの賑わいだった。
カイトはランチを食べながら、休んだ間の事の話をシンジに話していた。
「まぁ、それで・・・」
「そっか・・・」
少しして・・・
「カイトー」
話してる後ろからミナギがカイトを呼んだ。
「や、ミナギ」
「えへへ♪」
2人のやり取りをみてシンジはまた、にやけ笑いをした。
「ほほぅ・・・相変わらず仲が良いですな・・・」
いつものようにシンジは2人をからかった。
「えへ、そう見える?」
そうミナギは言って、カイトの腕に抱きついた。
「わっ!ミ、ミナギ?」
予想してなかったミナギの行動にカイトは少しびっくりした。
「お前たち・・・あの時に何があったんだよ?」
今までと全然違う、ミナギの積極的な行動にシンジも驚いていた。
「えへ、内緒♪」
ミナギはそう言いながら、カイトの腕を引っ張った。
「カイト、私と一緒に行こう、ね♪」
「ちょ、ちょっと、ミナギ、行くってどこへ・・・わっ」
ミナギに引っ張られるように、カイトは席を立った。
「ちょっと、まだお昼終わってないって・・・」
カイトは、ミナギとさっきまでシンジと座っていた席を交互に見ながら学食を後にした。
そのやり取りに周りが少しざわついていた・・・
その様子をシンジはただ呆然と見てるしかなかった。
#9「冬始~ふゆのはじまり~」end.
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