#9「冬始~ふゆのはじまり~」7
「・・・・・・」
カイトがいなくなった後、ミナギは少し俯いた感じになった。
「フォー・・・?」
「あっ、フォーちゃん・・・」
その様子を見ていたフォーがミナギの頬にそっと触れた。
「フォー・・・」
「・・・フォーちゃん・・・」
ミナギは、どうしようもないくらいに悲しい気持ちになってフォーの頬に顔を寄せた。
「私、どうしたらいいの・・・?」
「フォー・・・」
・・・・・・・・・。
「どうしよっかなぁ・・・?」
一方、シンジはカイトの見舞いに何を買おうか一軒一軒店を回っていた。
「あれ・・・?」
シンジは、反対側の歩道にいる1体のドラゴンを見かけた。
「あれは、フォー・・・?」
シンジは気になって、見に行く事にした。
・・・・・・。
「ぐす・・・」
「フォーゥ・・・」
ミナギはカイトに何も出来ないのではと考えてる内に、涙が止まらなくなっていた。
フォーは何とか慰めようとミナギの頬に触れていた。
「おーい、フォー」
その時、反対側から渡って来たシンジがフォーに気が付いて声を掛けてきた。
「あっ・・・」
シンジの声に気が付いて、ミナギは我に返った。
「フォー・・・ミナギ?」
「あっ、シンジ・・・」
ミナギはとっさに笑顔でシンジに答えた。
「ミナギ・・・お前泣いてないか?」
シンジがそう言うと、ミナギは慌てて目を擦った。
「ちょっと、おかしい事があって、笑いすぎて・・・」
誤魔化すには、あまりにも無理のある言い訳だった・・・
「どうして、ミナギとフォーがカイトのバイト先にいるんだよ?・・・カイトは・・・」
シンジがそう尋ねるとミナギは少し言い難そうに・・・
「あの、えっと・・・」
その時、ウイーンと店の自動ドアが開いてカイトが出てきた。
「お待たせ、ミナギ、フォー・・・」
カイトがミナギとフォーに話し掛けたところで、シンジの存在に気が付いた。
「シンジ・・・」
「カイト・・・お前、風邪で休んでたんじゃ・・・?」
カイトの姿にシンジは少しだけ驚いていた。
「シンジ、これはね・・・」
「風邪薬が切れたから、買いに来てたんだ。ちょうどミナギが見舞いに来てくれて、それで俺1人じゃ危ないからって一緒について来たんだ」
カイトは、とっさに思いついた理由をシンジに話した。
「そ、そうなのか・・・?」
シンジがそう言うと、ミナギは何度も頷いた。
「う、うん・・・」
「まだ、調子は良くないけど・・・」
カイトはシンジにそう話した。
そう言われてシンジがカイトの顔を見ると、そのあまりのカイトの顔色の悪さに表情が固まった。
「カイト・・・本当に風邪なのか?そんなに顔色が悪いなんて・・・本当は違う・・・」
「風邪だよ。風邪だから・・・もう俺は帰るから・・・」
カイトはそう言って早々とこの場から・・・
「おい、待てって・・・・・・っ!」
シンジがそう言った時に、はずみでカイトの胸に触れてしまった。
「あっ・・・」
シンジは、そのあまりの冷たさに言葉を失っていた・・・。
「カイト・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
カイトは何も言わずに、フォーの背中に乗った。
「ミナギ、フォー、先を急ごう」
「えっ・・・う、うん」
「フォーゥ・・・」
カイトは顔を下に向けたままでミナギとフォーに話した。
「カイト・・・お前、何があったんだよ・・・?」
シンジが悲しげな顔でカイトに聞くと、カイトは顔を下に向けたままで話し始めた。
「ごめん、シンジ・・・今はまだ話せない・・・」
カイトはシンジにそう話して、フォーに先に進むように言った。
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