#9「冬始~ふゆのはじまり~」14
少しして、男の子は小さい頃のミナギの手を引っ張って大きな木の真ん中に2人が交互になるように立った。
「待ってるよ・・・君がこの町に戻ってくるのを」
「うん、きっと・・・この町に戻ってくるよ・・・君に会いに・・・」
「約束・・・だね」
「うん・・・」
2人はそっと、指きりを交わした。
光に願いを込めるように・・・
「また、遊ぼうね・・・ミナギ」
「うんっ、また遊ぼうね・・・・・・」
2人が約束を交わした直後に、弱い風が吹いて男の子の顔が見えた・・・
・・・カイト・・・
――・・・・・・
「えっ・・・?」
ミナギが気が付くと、辺り一面の花壇の風景が目に入った。
「気が付いたみたいだな・・・」
「ア、アステルさん・・・」
「少しは思い出したのかな・・・?」
アステルは、テーブルの反対側にある座椅子に腰掛けていた。
「・・・はい」
ミナギは静かに頷いた。
「では、ミナギへの願いは誰の心の欠片なのかな・・・?」
「・・・カイトだったよ」
・・・・・・。
「あっ・・・」
時を同じくして、家に戻っていたカイトの記憶も突然甦った。
「・・・・・・」
カイトは、机に置いていた包み紙を手にした。
「・・・・・・」
カイトは包みから黄色いリボンを取り出した。
「う・・・ううっ・・・」
カイトはリボンを握り締めながら、その場で座り込んだ。
「ごめん・・・ごめん、ミナギ、大切な約束・・・今まで忘れていて・・・」
カイトは甦った記憶を思い出し、今まで流れなかった涙が流れていた・・・。
ミナギへの願いを叶えたのは・・・
俺だったんだね、ミナギ・・・
本当に、ごめんね・・・・・・
・・・・・・・・・。
「カイトも忘れてました・・・あんなに大事な事を、私だけでなくカイトも忘れてるなんて・・・」
ミナギは、思い出した嬉しさと想像してなかった事に複雑な思いになっていた。
「恐らくは・・・後遺症」
「えっ?」
アステルは落ち着いた様子で、ミナギに話し始めた。
「カイトが3つ目の願い・・・つまりフォーを助ける為にかけた願いと引き替えに、最初にミナギを救った願いの記憶を無くしてしまった・・・」
「そんな事って・・・」
アステルは、話を続けた。
「カイトは優しい・・・だが、その優しさが自らの命を縮めてしまった・・・。私は何度も警告したのに・・・彼にもう少し自分を大事にする気持ちがあれば・・・」
アステルは話を終えて、そっと顔を上げた。
「でも・・・それがカイトだって思います。私・・・カイトがいなかったら、もうこの世界にはいなかったんだって思いますし・・・」
ミナギは少しだけ目を潤ませながらアステルに話した。
「ふふ、そうだな・・・」
アステルは鳥達を見ながら答えた。
「ミナギが記憶を戻したならきっと、カイトの記憶も戻っているはず・・・願いをかけた者とかけられた者の心が繋がってるはずだから・・・」
アステルは、そうミナギに話した。
「でも、嬉しいよ。大切な人がカイトだったなんて・・・」
ミナギは少し涙目で話した。
「でも・・・どうすればカイトを救えますか?・・・このままじゃカイトは・・・」
「フォーゥ・・・」
2人の話を聞いていたフォーが心配そうに近付いてきた。
「フォーちゃん・・・」
「・・・1つだけある。カイトを救う方法が」
アステルは少し重い口調で話した。
「えっ・・・?」
ミナギは驚いてアステルに聞き返した。
「今朝まで、本で調べてようやく見つかった・・・」
「どうすればいいんですか?」
ミナギはすがる思いでアステルに聞いた。
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