#9「冬始~ふゆのはじまり~」9
少し歩いて・・・やがて、明るい場所に出ると小さな一軒家が見えた。
「着いたよ」
「ここが・・・」
今まで見た事の無い風景に、ミナギは少し辺りを見回していた。
「フォー、ありがと・・・重くなかった?」
カイトはフォーに尋ねると、フォーは笑顔で首を横に振った。
カイトはゆっくりとフォーから降りた。
「フォー、ここで待っててね」
カイトはフォーの頬を撫でながら話した。
フォーは小さく頷いた。
コンコン。
カイトは扉をノックした。
「入りなさい」
扉の奥から声が聞こえた。カイトは静かに扉を開けた。
「・・・・・・」
ミナギは、少し緊張した感じで中に入った。
中に入ると、沢山の本と薬が置いてあった。
「こんにちは、アステルさん」
「おお、カイトか・・・何だ、連れもいるのか」
アステルとゆう人物が、カイトの後ろにいたミナギの方を見つめた。
「初めまして、アステルさん・・・ミナギといいます」
「おお、礼儀正しい子だな・・・」
アステルは見た目は少しだけ怖い印象だったが、実際に話してみるととても優しい感じがした。
「今日も・・・お願いします」
「ああ、分かった・・・」
アステルは静かに席を立った。
そして、カイトとミナギは奥の部屋に通された。
テーブルの上には、色々な本が山積みになっていた。
「カイトが帰ってから、色々な本で調べてみたが・・・」
「見つかってないのですね?」
アステルの話にカイトは、静かに答えた。
「カイトはもう、助からないのですか・・・?」
ミナギは心配そうな顔で、アステルに聞いた。
「まだ分からん・・・今は薬で症状を抑える事でしか・・・」
「・・・・・・」
アステルの答えに、ミナギは何も言えなかった。
「カイト、私のあげた薬の効果は大丈夫か?」
「少しずつ、薬を飲む感覚が短くなってきています・・・」
「どれくらいの感覚で?」
「今は2日で苦しくなってきます」
アステルの質問に、カイトは淡々と答えた。
「もう、その薬も限界か・・・」
「・・・・・・・・・」
ミナギは、何かカイトの為にしてあげたい・・・でも、何も出来ない・・・
そんなもどかしい気持ちになっていた。
「やっぱり・・・自分の心の欠片を引き替えにして願いを叶えて、自分も助かろうなんて・・・虫が良すぎますよね・・・」
カイトは、自分のした事にもうどうする事も出来ないと思った。
「諦めちゃ・・・だめだよ」
ミナギはそっと、後ろからカイトにしがみついた。
「消えてほしくない・・・絶対に」
「ミナギ・・・」
ミナギは泣きながらカイトの背中に顔を寄せた。
「・・・・・・」
カイトはなんて言っていいか分からなかった。
「・・・・・・」
アステルは、そっと別室に入っていった。
しばらくして・・・アステルが別室から戻ってきた。
「カイト、新しい薬だ。これで胸の体温が少しは上がるはずだ」
アステルは、ピンク色の錠剤入りのビンをカイトに手渡した。
「ありがとうございます」
「また明日来なさい。私はカイトが来るまでに探しておくから」
「アステルさん、色々と迷惑かけてしまってすいません」
カイトは頭を下げてアステルに謝った。
「もう分かったから・・・過ぎてしまった事は仕方ない。もう遅くなるから今日の所は帰りなさい」
「はい。ミナギ、帰ろう」
「うん・・・ごめんカイト・・・私、何も出来なくて・・・」
ミナギはカイトにそう話すと、カイトは何も言わずにミナギの頭を撫でた。
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