#9「冬始~ふゆのはじまり~」2
パタン。
カイトはベッドに鞄を放り投げて横になった。
「・・・・・・」
カイトは、あの時のミナギを思い出していた・・・
・・・・・・―――
(私は、たとえ他の人がカイトを怖がっても、一緒にいたい。カイトと笑っていたいから・・・)
「・・・・・・」
・・・・・・―――
(カイト・・・まだ平気なんだよね?・・・死んじゃったりしないよね??)
「・・・・・・」
これ以上悲しい気持ちは欲しくない・・・
母さんや、フォーを・・・死なせたくなかったから・・・
こんな自分に出来た事・・・でも・・・
何も失わずにいるなんて・・・
出来ないのかな・・・?
心の欠片と引き替えに手に入れた温もり・・・
でも・・・
俺は皆と、笑う事・・・もう・・・
出来ないかもしれない・・・
「・・・・・・・・・」
色々な事を考えてる内に、カイトは涙を浮かべていた。
皆との、約束・・・
破ってしまうかも・・・
皆・・・・・・ごめん・・・
・・・・・・・・・。
ジリリンと、電話が鳴っていてカイトは受話器を取った。
「もしもし」
・・・・・・。
「はい、分かりました、少しお待ち下さい」
カイトは受話器を置いて母さんを探した。
「母さーん」
「どうしたの?カイト」
台所から母さんの声がした。
「母さん・・・」
カイトは母親に電話の事を伝えた。
「分かったわ。今出るから・・・」
母親はゆっくりと電話の所まで移動した。
「ただいま変わりました」
・・・・・・・・・。
2日後、カイトと母親はバスの停留所に立っていた。
電話の相手は病院からで、カイトの母親の担当の先生だった。
カイトの母親は約一週間程、年に一度の精密検査を受けに少し離れた病院へと行く所だった。
「母さん、気を付けてね」
「家の事よろしくね、カイト・・・」
「うん・・・」
プシューと、バスのドアが閉まりゆっくりとバスは発車した。
カイトは、母親の乗ってるバスが見えなくなるまで手を振っていた。
「・・・・・・」
母さん・・・
もしかしたら、母さんが帰ってくる頃には・・・
もう、俺は・・・
・・・・・・。
ピンポーン。
その日の夕方カイトは、フォーを連れてミナギの家に来ていた。
そして、カイトが玄関のベルを鳴らすと扉が開いた。
カチャ・・・
「カイト?」
「やっ、ミナギ」
あっ、フォーちゃんも」
「フォー♪」
ミナギは、カイトとフォーの訪問に笑顔で交わした。
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