#7「雨宿~あまやどり~」6
「どうしたのー?大丈夫ー?」
エリがライトを持って戻ってきた。
「エリさん、ミナギが・・・」
「え?まさか外に・・・」
カイトは、何も言わずに頷いた。
突然の出来事に、エリも動揺していたようだった。
「俺、ミナギを連れ戻してくる」
そう言って、カイトはミナギが走っていった方向へ向かった。
「あっ、カイト君ー?」
エリが呼び止める間も無く、カイトは飛び出した。
カイトが外に出ると、さっきよりは雨が弱くなり、雷も遠くへ行ったようだった。
「ミナギー、ミナギー!」
走りながら、カイトはミナギを探していた。
まだ、そんなに遠くへは・・・
「あっ・・・」
家から少し離れた薄暗い木の下で、呆然とミナギが立っていた。
「ミナギ・・・」
「こな・・・いで」
「え?」
「来ないで!」
ミナギは、背中を向けたままカイトに叫んだ。
「・・・・・・」
その場から逃げ出そうとしたミナギを、カイトは走ってミナギの腕を掴んだ。
「いや、離して!」
さっきまでのミナギはここにはいなかった・・・
まるで、全てを拒絶してるようだった。
「いや、離さない絶対に」
カイトは、ミナギが逃げ出さないように強く抱きしめた。
「いや、いや、いやぁー!」
ミナギは、カイトの体を駄々をこねるかのように叩いた。
「ミナギ、落ち着いて・・・」
「嫌いだ、皆嫌いだ・・・私に近寄らないでー!」
ミナギは、カイトから離れようとしてカイトの胸辺りを叩き続けた。
「ミナギ、大丈夫、大丈夫だから」
「うっ、うわああぁぁー!」
「もう、大丈夫・・・だから」
カイトはそう言って、ミナギの頭をそっと撫でた。
「あっ・・・」
さっきまで暴れていたミナギが次第に大人しくなった。
「もう、怖がる事はないんだ・・・皆一緒にいるから・・・」
「えへっ・・・」
一瞬だけ、ミナギが笑顔になったような気がした・・・そして、力尽きたのかミナギはカイトに身を委ねた。
「すう・・・」
「ミナギ・・・」
どうやら疲れ切って、そのまま眠ったらしい・・・
カイトは、ミナギをおんぶして家に戻った。
・・・・・・。
「ただいま・・・エリさん」
カイトの声が聞こえたと同時に、エリが慌てて玄関へと来た。
「カイト君、ミナギは?」
「大丈夫です、眠ってるだけです」
エリがミナギの顔を見ると、元の安らかな寝息をしてる姿を見てほっとしたようだった。
「ありがとう、カイト君」
「いえ、それよりもミナギをお願いします」
「うん、部屋に連れて行くから。カイト君は居間に行っててね」
「あ、はい」
カイトは、居間の方へ少し思い足取りで戻った。
・・・・・・・・・。
「カイト君、おまたせー、私の特製スープよ。さっき外に出て体が冷えてるでしょ?」
ミナギの部屋から出てきたエリが、カイトの為にと特製のスープを作ってカイトに手渡した。
「ありがとうございます、エリさん」
「熱いから気を付けてね」
カイトは、エリから受け取ったスープ入りのコップを一口飲んでみた。
「熱っ!」
「くすっ、熱いからって言ったのに」
エリは笑いを抑えながら話した。
「はあー・・・」
さっきの事で体が冷めた事もあって、温かいスープが体全体に染み渡ってゆくようだった。
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