#4「願事~ねがいごと~」5
「それで、ある日父さんが母さんの病気を治す薬を買う為に外国に行ったんだ・・・」
「・・・・・・」
「その、途中で事故に遭って・・・亡くなったって手紙が・・・」
「そんな事が・・・」
ミナギは、何もかける言葉が見つからなかった。
「その手紙を先に母さんが読んでしまって・・・ショックで母さん寝たきりになって・・・」
「・・・うん」
ミナギは静かに頷いた。
「このままじゃ、母さんまで死んじゃうって・・・父さんが死んで、まだ吹っ切れてないのに母さんまで死んじゃったら・・・」
「・・・・・・」
ミナギは何も言葉が出なかった。
「そんな時、小さな頃に出会った事のある人で「もし、何か困った時に私の所へ来なさい」って言う話を思い出して・・・ここから大分離れてる人里離れた山奥に住んでる人に・・・すがる思いで行ったんだ」
「カイト、その人って・・・?」
ミナギは、不意に気になる事を聞いた。
「どんな願い事も叶えてくれる・・・『灰色の願い人』と、呼ばれる人・・・」
「あっ・・・」
カイトのその言葉に、ミナギは表情を曇らせた。
灰色の願い人・・・噂では聞いた事があった。
その人は、どんな願い事でも叶えてくれる・・・
でも、それと引き替えに払いきれないお金を請求されたり、引き替えに叶えた者の命が奪われたり、その願い人の手を借りた事で周りの人に不幸を招き入れたりなど・・・
その殆どが触れてはいけない噂話ばかりが色々な人達から流れていた・・・。
ミナギも、誰からかその話を聞いて夜、眠れなかった事があった程に・・・。
「ミナギも、やっぱり聞いた事があるんだね・・・灰色の願い人の噂話を・・・」
カイトは、表情1つ変えずにミナギに聞いた。
「うん・・・噂だけ」
ミナギは少しだけぎこちない感じで答えた。
そんなミナギを見てカイトは、何も聞かずに話を続けた。
「その人はアステルさんって名前で、最初は怖いって感じだったけど話してみたらとても優しい人だったよ」
雲がゆったりと流れていた。カイトは一息置いてから話を続けた。
「俺がアステルさんに「お願い、母さんを助けて」って話して、そうしたらアステルさんはついて来なさいと言って・・・俺が「願いを叶えるにはお金が必要なんですか?」って聞いたら「お金はいい」って言われて・・・アステルさんが「お前の心の欠片が必要だ」って言われて・・・」
「心の・・・破片?」
ミナギは、不安定な気持ちを抑えながらカイトに聞いた。
「うん、母さんの病気が治るのなら・・・ってアステルさんにお願いして」
「そんな事って・・・」
「信じられないよね、そんな話・・・」
ミナギは、静かに首を横に振った。
「それで、俺の心の欠片と引き替えに手に入れた薬を母さんに飲ませたんだ。そしたら嘘みたいに良くなって・・・今は動けるまで回復したんだ」
カイトは、ミナギにそう話した。
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